2025.6.14
韓国ソウルのクィアパレードを歩いた。

最寄駅を降りてパレード会場に着くまでの道中、キリスト教系右派の人々の大規模な集会の中を横切ったのだけど、とにかく物凄い人の数で驚きと恐怖を感じた。異性愛規範の伝統的家族観の素晴らしさを描いた冊子を配布する人や、差別禁止法のない世界を支持する横断幕を見た。心から性的少数者を差別したい意思がそのデザインや表現から刺さるように伝わってくる。

そんな場を通り抜けて、クィアパレードの会場に着いた時は、安堵感があった。見た目からして多様な人が思い思いに楽しんでいる光景。すごくいい。さっきまでの光景の対比もあって、ちょうど遭遇したバンド演奏に胸高まって泣いた。ボーカルの歌唱が空に突き抜けていた。(帰国後、Youtubeでその日のパフォーマンスを見つけて何度もまた聴き入った。MIRUというバンドのBirdsという曲だった。)

ソウルのクィアパレードで一番印象的だったのは、虹色以外の様々な旗が、大量にはためいていたことだ。昨年末の前大統領の戒厳令をめぐる抗議行動の流れもあるのかもしれない。また、パレスチナの国旗も多かった。

ちょうどソウルの一週間前にあった東京のプライドパレードでは、プロパレスチナのフラッグを掲げた人々はパレードを一緒に行進する形でなく、列を歩く人たちを待ち受ける形で、歩道橋や沿道から抗議行動していた印象があったので、混ざり合いながら共に歩いていたソウルのパレードは様々に声をあげるマイノリティ同志の集まりとして、より熱を帯びていたように感じた。

沿道から「同性愛は罪」の(もはやお決まりの?)プラカードを掲げた人もちらほらいたが、こちらはこちらでその人たちに拍手を浴びせて寧ろ歓迎の態度をとっていたのは可笑しかったし頼もしかった。それに、沿道の人々も無関心な様子はなく共感の態度を示す人が多かったように思う。
これまでたくさんのパレードを歩いたわけではないけれど、もっとここで歩いていたいと思ったパレードは初めてだったかもしれない。あたたかい川の中を歩いているようだった。
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